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合奏練習に取り組む南砺市立福野中の部員ら=2025年9月9日、富山県南砺市、オザワ部長撮影

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 「この曲は全体的に音量の大きいところが多いよね。だからこそ、わずかにある静かな部分をいかにきれいな音色で奏でられるかが大事だよ」

 指揮台で顧問の山田誠先生が言うと、46人の中学生が「はい!」と元気に答え、楽器をかまえた。

 冬は深い雪に覆われる富山県南西部の南砺市。全日本吹奏楽コンクール・中学生の部(全国大会)への4年連続出場を控え、市立福野中学校吹奏楽部が練習を重ねていた。

 全国大会は50人まで出場できるため、福野中は入部して約半年の1年生も含めた全部員で挑む。3年生で部長の鷹屋花蓮(たかやかれん)(クラリネット)、副部長の長井彩(フルート)と上久一花(じょうきゅういちか)(サックス)も、2年前から全国大会の舞台を経験してきた。花蓮はこう語る。

 「去年の全国大会は緊張しましたが、自分たちも感動し、観客の心にも届く演奏ができたと思いました。でも、結果は銀賞。おととしは金賞だったので、悔しくて泣きました」

 彩も同じ思いだったという。

 「いい演奏ができたのに銀賞で。会場でも、バスの中でもずっと泣き続けて、家に帰ってからも涙が出てきました」

 一花はそのときに部員たちが…

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